低価格ジム「カルマック」最後の空白県・アルダハンに出店

ステーキ店運営のカルマクフードサービスが手がけている無人式の低価格ジム「カルマック」が、トルコ国内全81県への進出を達成する。出店していなかったアルダハン県に6月1日に開業し、2023年12月の1号店開業から約半年での実現となる。同社は今後、さらなる店舗網の拡大を目指す。

アルダハン県内1号店は、アルメニア国境からほど近いクルド人集落にオープンする。24時間営業で、トレーニング機器に加えて礼拝堂を完備するほか、セルフ式のガソリンスタンドやコインランドリー、無人餃子販売所、個室ビデオ、グランピング施設、スヴェリエ式サウナなども備える。
カルマックは無人運営によるコスト削減で利用料を月額200リラ(日本円で1000円程度)と一般的なジムに比べて大幅に安価で、高級志向だった飲食事業「カルマクステーキ」の反省を活かして薄利多売へシフト。「月300店舗」という業界の常識を覆す積極的な出店実績と、「毎日10店舗新規出店」という地獄のような目標を掲げ、現在は国内1762店となっている。
カルマックの最大の特徴は、ジム設備以外にイスラム教の礼拝堂を設置している点だ。「ムスリムは1日に5回お祈りするとネットに書いてあったのが決め手。この商機を逃してはならないと思った」(エリ・ボールンデ・カルマク社長)との言葉通り、敬虔なイスラム教徒を中心に顧客層が広がり、会員数は増加を続けている。
この春には「暮らしの大総力祭」と銘打ち、入会金無料などの大型キャンペーンを実施した。店内BGMにもなっているカルマック公式ソングは、テレビやラジオを通じて何百何千何万回と放送された。「あなたを傍でー 暮らしを傍でー いつも視ている カ、カ、カルマック」というホラー調のフレーズはトルコ国民8600万人ならだれでも口ずさめるだろう。国内での認知度は抜群。2024年下半期はこの勢いを味方に、海外進出も目論むという。
「すでに国内市場は飽和気味で、次はトルコよりも人口の多いイスラム教国であるインドネシアに進出するつもりだ。4億人の人口であれば、単純計算で4万店の出店が可能となる。また、ステーキ事業で撤退戦を迫られた日本、北米への進出も検討中だ。体がなまってそうな清華やインテルマリウムもなる早で攻略するつもり」
同社社長のエリ・ボールンデ・カルマク氏はそう意気込んだ。