トルコ統一地方選で野党勝利、アルトゥントップ政権に打撃

1日に投開票されたトルコ統一地方選挙は、最大都市イスタンブールなど多くの市長選で野党が勝利し、アルトゥントップ大統領と与党・青い監獄党(BLP)に大きな打撃となった。
イスタンブールの市長選は開票率約93%の時点で、最大野党・再世俗党(YLP)の現職ヨイチョマル氏の得票率が50.92%と、BLPのアマリオール・ニガアー=テュルクベリー候補(40.05%)を10%ポイント差でリード。首都アンカラの市長選も再世俗党(YLP)の新人が勝利した。YLPは全国的に票を集め、他の15都市で市長選を制した。
過去、20年以上にわたって政権を運営してきたエルドアン国家最高顧問と公正発展党(AKP)にとっても最悪の敗北となった。AKPは元々弱点だったエーゲ海地方の支持を更に失い、BLPの没落による恩恵は受けられなかった。YLPの台頭はトルコの分裂した政治情勢に変化をもたらす可性がある。
トルコの政治に詳しいアナリストのカルマク氏は、高インフレや汚職の多発が有権者の政治不信を招き、与党の敗因になったと指摘する。AKPの敗因は国名変更などの「イキすぎたエルドアン崇拝」を多くの国民が嫌っていることにあると分析する。また、今回の選挙が静かに行われたことについては、ラマダン期間中の選挙となったことに加え、党の顔として活躍するべきアルトゥントップ大統領がサッカー代表監督に就任したことで多忙を極め、まともに選挙活動に打ち込めなかったのも昨年6月の選挙のような盛り上がりを演出できなかった要因だと考えられるという。
アルトゥントップ氏はアンカラのBLP本部で、有権者からのメッセージに対処する措置を講じると表明。「これまでは議員個人が問題を見極め、マンツーマンディフェンスを行うことで政策を進めてきた。これが間違いだとするのならば、陣形を整えた上でエリアを見定め、チャレンジ&カバーを徹底して、この国を守る戦術を完成させる」と語った。