アルトゥントップ大統領、突然LGBTへの断固反対を表明 背景に何が?
アルトゥントップ大統領は26日、建国百周年記念式典に係る各種イベントに出席した。『Aile Şurası’nda 世界と平和の統一家庭セミナー』の記念講演において「われわれ青い監獄党にLGBTへの理解はない」として、LGBTを突然非難した。
演説の冒頭、憲法41条を引き合いに出し、「トルコ建国100年を振り返ってもトルコの発展に欠かせなかったのは伝統的家庭基盤である」と持論を展開したアルトゥントップ大統領。さらに続けて、「記念式典でのスピーチに関わる内容なのであまり言及できないが、次の100年を迎えるにあたりトルコ最大の課題はジェンダーレスの試みだ」として、これに対応する新たな政策パッケージの用意があると示唆した。
LGBTについてはエジル前政権による激しい弾圧(スクールアイドルの格好で踊る男子大学生の検挙、オネェタレントの放送倫理審査入り、おかまの住所氏名を特定した上でネットに公表など)をうけ、国内でも様々な意見が挙がっていた。青い監獄党は選挙戦にて一貫して「あらゆる政策において従来からの決別」を表明しており、一定程度LGBT支持票を受けていたはずだった。
アルトゥントップ大統領は建国百周年記念式典の開催にあたり、野党AKP幹部で、国家最高顧問のエルドアン氏とマンツーマンの会談を重ね、事前準備を行ってきた。近代トルコ国家の顔でもあるエルドアン氏の協力なくして式典の成功はないとして、政権を奪った側が奪われた側の事実上のトップに「気に入られ作戦」を展開していると言う構図に、国民からは失望感も広がっている。
政治事情通の雑誌陰謀編集長カルマク氏は「アルトゥントップは式典を成功させるために『おじいさん』のテープレコーダーになることを受け入れたようです。『おじいさん』はしたたかで、青い監獄党はじきに公正な発展を遂げるでしょう」と分析している。
エルドアンが大統領を続けていたならば、早急にメスが入っていたであろう家族政策。それは人口が増え続ければ経済や国力は必ず好転すると言うAKPが掲げた幻想と切っても切り離せられない。そして、今年2月に行われたイスタンブール市議補選にジェンダーレスの動きが見られたことはエルドアン自身にとっても歯がゆいものになっていたと見られる。エルドアンの右腕として大統領に就任したイノニュがなぜ母をアピールし、なぜ妊娠を理由に退任し、その後も一貫して子供を産む機械になっているのか。なぜエジルが退任の挨拶に妻と娘への感謝を語ったのか。そして、なぜアルトゥントップがこのタイミングでLGBTに言及したのか。全ての背景には、「ドン」に気に入られたい、操られているという事情もあるのかもしれない。
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